2010年10月21日木曜日

「子まちづくり」その2:迷路をつくったり

ティトスさんと大工さんによってティトスさんの家がつくりあげられている、
そのかたわらで、サポーター・チームのお兄さん・お姉さんは、
みんなをお迎えするための準備を進めていました。

まず、「子まちづくり」で遊ぶためのお約束を書いたポスターを貼ります。



「子まちづくり」は、みんなが自由にのびのびと、好きなことにチャレンジしてもらうための場。
だからこそ、はじめにお約束しておかなければならないことがいくつかあります。


その1つが、「自分の責任で、ケガをしないように気をつけて遊ぶこと。」
これは、「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーとする「冒険遊び場」(playpark)の精神を参考にしています。

墨田区には、区が運営するわんぱく天国という冒険遊び場もあるのですが、
小さな規模でも、区のなかのさまざまな場所に、こういう場所があるといいなぁ、と思います。

次に、白い布で小さな日よけ=屋根をつくりました。


これで準備は万端!
・・・と、思ったら、なんと「入り口」がありません。

そう。この場所は、ふだん誰も使わず、基本的には誰も入らない空き地なので、
四方八方、「立ち入り禁止」の針金がはられているのでした。

これでは、子どもたちが来ても、入れません。困りました。
・・・すると、
サポーターをしていた、建築専門士・T本くんがダンボールを使って、入り口を作りました!


なお、入り口の鉄線の処理のしかたは、若干、「墨東まち見世2009」のときの藤井光個展《芸術、起源、デモクラシー》に影響を意識しています(?)。
・・・「入っちゃいけないところに、危険を冒して入っちゃった」感をつくりたかったのは、本当です。

そんな、子ども心を持った大人(?)たちの遊びを展開していると、
4人の子どもたちが遊びにきてくれました。



はじめは、「入っちゃいけない」感に躊躇していた(?)子どもたちでしたが、
1人が入りはじめると、次に次にと、T本建築専門士作のダンボール迷路のなかへ。

とはいえ、まだちょっと作っただけの迷路なので、すぐにゴールにたどりついてしまいます。
・・・と、今度は、「もっと作りたい!」と、迷路をむずかしくすることに。


ダンボールを1つ1つ組み立てて・・・
作る、作る。


「行き止まりを作ろう!」
「ねー。テープではってー。」
ガムテープで出口をふさぎまくります。

あらららら。そのままだと、本当に1つも出口がなくなっちゃうよ・・・という、
スタッフのお兄さん・お姉さんの助言もむなしく・・・


ほぼ出口のない、超難解な迷路が完成。
今度は、奥のほうに、家をつくりはじめます。「子まち」がどんどんできていきます。

この迷路を見た、墨東まち見世事務局のR氏が、地域にゆかりの深い作品、永井荷風『濹東綺談』にひっかけて、「ここ(入り口)に『ぬけられます』って書いたら?」と言ったりします。

・・・いや、ぬけられません。たぶん。

家ができたら、今度は「おみこし」!
さすがは下町っ子!発想がちがいます。

まず、竹をきって、おみこしの担ぎ棒と、拍子木をつくります。
ノコギリを使うのははじめてなので、まずは、ティトスさんのお手本。
次に、自分で切って・・・、ダンボールにくっつけて・・・、


できました!!






「わっしょい!わっしょい!」
「わっしょい!わっしょい!」

近くにある広場を1周します。
もちろん、担ぎ手を交代する前には、「向島1本締め」!
シャシャシャン!シャシャシャン!シャシャシャン!シャン!



* * * * * * * *

子どもたちが、どんどん遊びはじめると、
一緒にきたお母さん・お父さんたちが、近くの敷地にビニールシートをひいて、井戸端会議をはじめました。


ふだんは、誰もはいらないはずの場所に、子どもたちの遊び場ができて、
その近くで、子どもたちのお母さん・お父さんたちの井戸端会議がはじまって・・・、
いつもとは違う風景が実現していきます。

見ると、
いつの間にいらっしゃったのか、たまたま通りがかった方とティトスさんが話し込んでいます。
「こんなところに、突然良い風景があって、ビックリしました・・・!」
と、その方は言います。

ティトスさんは、今はイベントとしてこれをやっているけれど、地域の人たちに理解が得られて、地域の人たち自身が、「こういう場所が必要だ」と思って続けられたらいいと思う、と言います。

* * * * * * * * *

この様子を見ていて、わたしもいろいろなことを考えました。

「冒険遊び場」のことは、わたしも知ってはいたけれど、
なんとなく、この地域で実現することを思いいたらなかったのは、日本冒険遊び場づくり協会の目指す「冒険遊び場」像のなかに、「自然素材豊かな野外環境であること」というのがあったから。

東京都内に住む人たちにとって、「自然素材豊かな野外環境」は、なかなか遠い存在。
だからこそ、「冒険遊び場」の活動もできるところが、とても限られてしまう。
「冒険遊び場」に行くために、わざわざ、遠くまででかけなくてはならない。

でも、それって、もうひとつ挙げられている条件である「子どもの生活圏にあること」を忘れてしまっているんじゃないだろうか。

もちろん、すべてが揃っているにこしたことはないかもしれない。
だけど、すべてが揃うことに固執してしまって、子どもたちの生活圏から遠い存在になってしまうことは、もっといけないことなんじゃないだろうか。

「子まちづくり」に来ていた子は、下は2歳から、小学5年生までいたけれど、一番参加が多かったのは、5歳から小学1年生までの子どもたち。
小学3年生くらいなって、自転車にのって一人でどこでも行けるようになれば、押上にある「わんぱく天国」まで行けるけど、それまで、自由にのびのび遊べる場が生活圏の中にない、というのは、ちょっと悲しいことなんじゃないだろうか。


そんなことを考えていたら、いつの間にか、遊びの場は、広場や空き道路へと広がっています。


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